■トップインタビュー
取材年:2021年
三菱重工業香焼工場の対岸に工場を構える丸金佐藤造船鉄工所。今年で創業から90年を迎え、主にボイラや煙突といった大型構造物を中心に手掛けてきました。木庭康博社長のお話です。
「当社は三菱長崎造船所の工事請負業からスタートし、1951年に産業用ボイラを受注してからは、大型構造物に製品をシフトしていきました。中心となるのは陸舶用ボイラや圧力容器の製作、また大島造船所向けの船用煙突も手掛けています。ボイラ組み立て工場には100トンの重さを吊り上げることができる天井クレーンと、艀を接岸できる岸壁設備も設けており、完成した大型構造物の搬出入をスムーズに行うことが可能です。こうした設備を保有した地元企業は珍しく、多様な製品に対応できるのが弊社の強みです」
扱う製品が大きいと、作業や溶接も大変ではないですか。
「そうですね。やはり大勢の技術者が分担しながら進める上で、チームワークは重要です。また特殊な工業許認可と、溶接士技量資格が必要ですので、資格取得や研修にも会社として積極的に取り組みながら、技術者一人ひとりがさらなる完成度と作業スピードを目指しています」
どんな人材を募集していますか。
「新卒・中途問わず、まずはものづくりが好きな人です。大型構造物の製作には時間と設備、技術が必要ですが、完成した際の達成感も大きく、それを目的に応募する方もいらっしゃいます。そして現場経験や資格については必須ではありません。溶接技術の基礎やスキルアップを目的として”溶接道場“や教育カリキュラムを備えており、入社後に訓練することで十分な技術を身に付けることができます。また当社は長年正社員採用にこだわり、企業としての一体感を重視しています」
造船業界は厳しい時代ですが、今後の方向性について教えてください。
「今後もこれまで積み重ねてきたお客さまの信頼に応え続けることが第一です。その上で新たなニーズを掘り起こす製品にも取り組みながら、技術力を活かした新規事業に挑戦する中で、まずは創立100周年の節目を目指していきたいと思います」
PROFILE
木庭康博さん
代表取締役社長
1983年長崎県生まれ。名古屋学院大学経済学部を卒業後、丸金佐藤造船鉄工所に入社。現場経験を重ね、2007年に取締役、2013年に常務取締役となり、2020年9月から代表取締役社長。趣味はゴルフで、休日は3人の子どもと一緒に長崎水辺の森公園を散歩して遊ぶことが多いそう。長崎でお気に入りの風景は、南山手から眺める長崎港の景観。
■社員インタビュー
取材年:2022年
集中力が求められる溶接作業。休憩時には甘いものを食べて気分転換しています!
髙木優輝さん
「機械実習での経験を生かした仕事がしたい」と入社を決意した髙木さん。大好きなものづくりの世界で日々技術を磨いています。
瓊浦高校の機械科を卒業し、2018年に入社した髙木さん。現在は、船舶の煙突やスタビライザー、発電用ボイラーの蒸気ドラムといった構造物の製作に携わっています。
「入社前は『造船をする会社』というイメージが強かったのですが、実際には発電設備など多様な構造物の製作を手掛けています。お客様によって要望も異なるので、繊細な技術や柔軟性を身につける必要がありますが、その難しさにも楽しさを感じています」
ものづくりは好きだけど、実は不器用だという髙木さん。年上の先輩方に囲まれた環境で、溶接の技術のほか、作業を円滑に進めるための段取りや動線の確保など、学ぶことも多いと話します。
「覚えることが苦手で、申し訳ないと思いつつ何度か同じ質問をしたこともありました。それでも根気強く教えてくださった先輩のおかげで成長できたと思っています。それまでの自分にはできなかった作業が上手くできて『ようやった!』と声をかけてくださったときは本当に嬉しかったですね」
先輩方の指導もあって、最近では説明を受けた後の作業を任せてもらえることが増えたという髙木さん。5年目を迎えた今、職人として大切にされていることを訊きました。
「作業のスピードや接合部の見た目の部分も大切ですが、やっぱり中身。欠陥を出さないことが一番大切だと思っています。先日、先輩方とチームを組んで溶接コンクールにも出場したのですが、いろんな会社から集った職人さんたちの技術を見て、勉強になる部分も多かったです。毎日の仕事や、先輩方のアドバイス、そして今回のような社外での経験を積みながら、もっと技術を磨いていければと思っています」
最後に、今後の目標についてもお話しいただきました。
「不測の事態が起こったときにどうしても慌ててしまう癖があるので、経験のない新しい仕事でも柔軟に向き合える対応力を身につけていきたいです。普段は工場で作業をしていますが、これから先、国内外に出張へ行く可能性もあります。たとえ普段と異なる環境だったとしても、磨いた技術を発揮できるような職人になりたいです」
集中力が求められる溶接作業。休憩時には甘いものを食べて気分転換しています!
株式会社丸金佐藤造船鉄工所
髙木優輝さん
休みの日も『ものづくり』に没頭!
自宅でもプラモデルを作ったりするなど、ものづくりに夢中だという髙木さん。許容差や要望に沿って製作する仕事とは違って自分好みで作ることができるため、創作意欲を掻き立てられているそうです。ロボットや車、さらには船まで作ってしまう髙木さんですが、最近では塗装にまでこだわっているとか。
「組み立てた船を手のひらに乗せて『仕事ではこういうところを作ってるんだな』と客観的に見てしまう自分もいるんです」
仕事もプライペートも、大好きなものづくりから離れられない髙木さんでした。
工具の手入れや、作業に合わせた入念な段取り。自らの作業だけでなく、ともに働く仲間の作業環境にも配慮できるよう心がけています。
■企業概要
株式会社丸金佐藤造船鉄工所
所在地 | 長崎市土井首町510-2 |
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電話番号 | 095-878-7878 |
ホームページ | http://www.marukin-sato.jp/ |
設立 | 1943年(創業1931年) |
代表 | 木庭康博 |
資本金 | 6,000万円 |
社員数 | 全従業員 150名 うち正社員150名 |
初任給 | 大学卒183,000円、高校卒160,000円 |
休日休暇 | 週休2日、年次有給休暇、特別休暇(夏季、年末年始) |
福利厚生 | 各種社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)、退職金制度、育児休業制度、介護休業制度、生命保険(労災上乗、一般)、資格取得費全額補助、その他福利厚生(制服・保護具支給) |
インターンシップ 受け入れなど |
インターンシップ受け入れ/有り(7月溶接体験) 大学生アルバイト受け入れ/無し |
採用担当者連絡先 | maru-kin@guitar.ocn.ne.jp 総務部 永尾省親 |