■トップインタビュー
取材年:2020年
鉄やステンレスなどの金属板から、さまざまな産業機械の部品がつくり出されていきます。熱の影響で歪みが生じやすい薄板精密板金の加工は、高い技能が要求される技術です。
ステンレス・アルミ・鉄の薄板板金加工を主体に、幅広い産業機械分野の部品を手掛ける岸川製作所。就任間もない若き新社長のもと、既存の技術の向上とともに、新たな分野の技術革新を目指します。
「〝板金加工といえば岸川製作所(KISHIKAWA)〟といわれるように、製品や会社の質をより高めていきたいです。今はコロナ禍で身動きが取りづらく、まずは今後のために内部体制の強化を図っています。良いところは残しつつ、社員の意見を聞きながら少しずつ変えていくつもりです。これまではトップダウンで進みがちだったのをボトムアップへ、言いやすくなったのかい
ろいろな声が上がるようになりました」
どのような製品があるのですか?
「路面電車の上部に付いている四角い部分は冷房装置なのですが、その表側をつくらせてもらいました。乗り物関係では、駅のプラットホームにある転落防止のドア付きの柵。三菱電機を介してですが、JR東京駅や新大阪、京都や名古屋などの駅に設置されています。弊社ならではの技術としてはスピニング加工があります。円盤状の金属板を回転させながら成形するもので、機械にデータを打ち込むだけではなく経験による微妙な力加減が必要になります。市内ではここだけ、県下でも珍しい技術です」
ロゴマークも一新されたそうですが、〝真〟を掲げる社是は変わりませんね。
「2代目社長である父の想いが〝真〟で、人やモノを大切にする気持ちです。社内での居心地を大事に、ただの会社や工場というより〝ホーム〟にしたい。管理職と一般社員の距離が近く、現在は自粛していますが親睦行事も多いです。仕事に関しては、納期100パーセント厳守が絶対です。長崎という土地は、流通・運搬面ではデメリットもありますが、製品が良いものであれば問題ないと考えます。取引先は九州一円から、近年では山口・広島など徐々に広がっているところで、今後の営業展開として取り組んでいきたいことがたくさんあります。板金でつくれないものはないと思っています」
PROFILE
岸川海志さん
代表取締役社長
1985年長崎市生まれ。長崎海星高等学校、福岡工業専門学校卒業。株式会社大東スピニング(群馬県)・西垣金属鉱業株式会社(京都府)にて経験を積み、24歳で岸川製作所に入社、神の島工場の工場長として製造工程に従事する。総務部長、取締役専務を経て、2020年7月、35歳にて現職就任。3人の子どもの父親として家族との時間を大切にしながら、ゴルフやスノーボードなどアクティブな趣味を楽しむ一面も。
■社員インタビュー
取材年:2020年
仮組から溶接組立、仕上げまで行います。達成感が大きいです
渕 紫稀さん
「この会社のいちばん良いところは、頑張った分きちんと評価してくれることです」と、渕さん。成長の毎日です。
もともとモノづくりに興味があって、高校卒業後に高等技術専門学校で溶接資格を取得した渕紫稀さん。薄板の精密板金加工を扱う会社ということで、岸川製作所を選んだそうです。
「薄板加工は高い技術がいるんです。インターンシップで3日ほど職場体験をして、仮組ではなく本付けまで少しだけやらせてもらいました。難しいけれど、学校で学んだ知識や技術を生かせる仕事だと思いました。入社当時は、作業方法と図面の見方を勉強しながら、先輩方が製作したものの仕上げを行っていましたが、指導を受けていく中で次第に自分でも溶接作業をするようになりました。その頃から、仕事の達成感が大きくなったと思います」
2年目に入った現在、小江工業団地内にある工場で、仮組から溶接組立、仕上げまでの一貫した作業を任せてもらえるようになったと言います。
「1年目と変わったのは仕事量。できる作業の種類が増え、スピードも速くなりました。今まで組立てたことのないものを製作していて、わからないことが出てきた時にも、指導係や熟練の先輩方が近くでそれぞれ作業を行っていますから、すぐに教えてもらうことができます」
職場の人間関係の良さは、会社のアットホームな雰囲気のおかげなのでしょう。工場と事務所の中は、BGMが流されているそうです。そのほうがリラックスできて、かえって作業効率が上がることは実証済みとか。
「朝はラジオ体操・朝礼から始まります。毎日の作業はあらかじめ工程日程表で決まっていて、それに沿って進めていく。日程表は一週間の予定がわかるようになっています。そのほか月2回のミーティングや、問題が発生した時にもその解決や処置について班内で話し合って対応します」
就職活動中の学生さんに助言はありますか?
「自分の場合は長崎で就職した友人が多かったので地元で探しましたが、興味のある分野で、できるだけいろいろな会社を実際に見たほうが良いと思います」
仮組から溶接組立、仕上げまで行います。達成感が大きいです
有限会社岸川製作所
渕 紫稀さん
車にこだわりはないけれどドライブするのは好き。友人の助手席が多いかも
最近は余暇にゲームをすることも増えた渕さんですが、本当は誰かとドライブしたり食事に出かけたりが好きだとか。同期入社の同僚とは部署や工場が離れていて日常的に会うことはないものの、自宅が近い先輩が数人いて集まることもあるそう。とはいえ最高に楽しいのは、高校時代の気の置けない仲間たちと過ごす時間のようです。
「通勤では車を運転しますが、自分のは軽自動車なので、友達と遠出する時は乗せてもらうことが多いですね。助手席でしゃべっています。この夏には、お盆で戻ってきた同級生も一緒に5〜6人、外海の神浦川でバーベキューしました。密にならないよう、距離を取りながら(笑)」
長崎県内ではここにしかないパンチレーザー複合機。金型で抜いたり、レーザーで切り取ったりの加工が可能です。
■企業概要
有限会社岸川製作所
所在地 | 長崎市小瀬戸町809-9 |
---|---|
電話番号 | 095-865-2136 |
ホームページ | http://www.kss-n.jp/ |
設立 | 1966年 |
代表 | 岸川海志 |
資本金 | 500万円 |
社員数 | 全従業員 56名 うち正社員52名(男性45名、女性7名) |
初任給 | 160,000円~194,000円 |
休日休暇 | 土曜(月2回程度)・日曜・祝日他、夏季休暇、年末年始休暇、年次有給休暇 |
福利厚生 | 各種社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)、退職金制度、資格取得補助制度、育児休業制度、介護休業制度、誕生月ケーキ支給、社内イベント(年4回ほどボーリング大会・忘年会・餅つき等) |
インターンシップ 受け入れなど |
インターンシップ受け入れ/有り 大学生アルバイト受け入れ/有り |
採用担当者連絡先 | 095-865-2136(総務部 岸川) s.kishikawa@kss-n.jp |